人工知能(AI)と機械学習って何がちがうの?
人工知能とは
人工知能と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?SFに出てくる、何でも自ら判断して行動するドラえもんのようなロボットを想像する人もいるかもしれません。実際にこのようなものは人工知能の一種ではあります。しかしそれだけが人工知能ではありません。それでは、初めに人工知能という言葉についてみていきましょう。
人工知能の定義
人工知能(Artificial Intelligence:AI)という言葉は、1956年の夏にアメリカで開催されたダートマス会議で初めて登場しました。人工知能の定義は明確には定められておらず、人により多少のばらつきがありますが、広辞苑では以下のように述べられています。
推論・判断などの知的な機能を人工的に実現するための研究。また、これらの機能を備えたコンピューター‐システム。1956年に、アメリカのマッカーシー(J. McCarthy1927〜)が命名。知識を蓄積するデータベース部、集めた知識から結論をひきだす推論部が不可欠である。データベースを自動的に構築したり誤った知識を訂正したりする学習機能を持つものもある。
-広辞苑第六版
与えられたプログラムを従順に実行していくだけのシステムとは異なり、自ら判断を行うシステムが人工知能と呼ばれています。つまり何でも判断ができなくても、何かしら判断ができれば人工知能に含まれるのです。
強いAIと弱いAI
ここで何でも判断できるAIと限られたものだけ判断できるAIは同じ扱いなのかという疑問が生まれてきます。この2つのAIは哲学者のジョン-サールによりそれぞれ「強いAI」と「弱いAI」というグループに分類されています。
強いAI
強いAIは汎用人工知能(Artificial General Intelligence:AGI)とも呼ばれ、上で述べている何でも判断できるAIに当てはまります。このAIは生物(特に人間)の知能を再現した、ある意味心を持った人工知能であり、ドラえもんやターミネーターといった例に挙げられます。例からお気づきの方も多いと思いますが、強いAIはまだ実現できていません。「強いAI」という言葉を生み出したジョン-サールは強いAIは実現不可能だと述べました。しかし現在多くの研究者がこの強いAIの実現を目標に研究をしているおり、実現される日もそう遠くはないかもしれません。
弱いAI
弱いAIは特化型人工知能(applied AI、narrow AI)とも呼ばれ、上で述べている限られたものだけ判断できるAIに当てはまります。画像処理や文章の処理、ゲームの人工知能などが分類され、具体的には自動運転のシステムや将棋ソフトウェアのPonanzaなどが挙げられます。残念ながらPepper君も心を持って人と接しているとは到底言えず、弱いAIに分類されます。私たちの生活の多くの場面でAIが取り入れられています。つまり、それだけたくさんの種類の弱いAIが存在しているということになります。
人工知能と機械学習の違い
人工知能についてだいたいわかったところで本題に入りましょう。
人工知能と同時に機械学習という言葉も使われることが多く、同じものなの?と思っている人も多いでしょう、私もその一人でした。
結論から述べると機械学習は人工知能の分野の一つになります。
人工知能には様々な分野があります。
分野 | 内容 |
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機械学習 | データを用いた学習を行うことによりアルゴリズムが自動で改変されます。 |
遺伝的アルゴリズム | データを生物の遺伝子にみたてたもの。適応度の高いデータ同士を交差させたり、突然変異を起こすことで最適なものを探します。 |
群知能 | データを生物の群れにみたてたもの。簡単なアルゴリズムを持つデータを複数集めることで複雑な振る舞いを実現します。 |
上の表は人工知能の種類の一部で他にもファジィ制御やエキスパートシステムなどがあります。人工知能といっても偏に同じものではなく、様々な分類、種類に分けられています。